
明治23年に発行された改造兌換銀行券10円(10円札)に描かれた人物と、発行年の出来事をわかりやすくお伝えします。

今日は改造兌換銀行券10円札の和気清麻呂(わけのきよまろ)についての勉強になるよ。
…わけの?初めましての人だなー。

その前に、お札の特徴と発行された年の出来事を勉強していこう。
目次
改造兌換銀行券10円 表猪10円


紙幣の説明
明治23年に発行された兌換紙幣の10円札だよ。
人物の選定は前回伝えたように、天皇に親しい人物が選ばれたんだ。

わ1いきなりクイズかよー。


クイズは突然やってくるものですよ。
さぁ、数えてみよう。
このお札には猪が描かれているのが特徴なんだ。
何匹いたか答えは後ほどお伝えしよう。
明治23年の出来事
改造兌換銀行券10円が発行された明治23年は、『第1回衆議院選挙』が実施された年になるよ。
投票できる人はかなり制限されていて、女性や国税の納めている額が少ない人には権利がなかったんだ。
《権利がある人》
①25歳以上の男性
②国税15円以上の納税者のみ
当時の政党って何があったんだー?

第1回衆議院選挙時の政党は14党あったよ。
開票結果はこの通りだった。
第1回衆議院選挙 7月1日 300議席
★大同倶楽部 54議席獲得
立憲改進党 43議席獲得
★愛国公党 36議席獲得
★九州連合同志会 24議席獲得
★自由党 17議席獲得
無所属(自治派) 12議席獲得
無所属(国権派) 12議席獲得
無所属(保守中正派) 6議席獲得
京都府公民会 5議席獲得
広島政友会 4議席獲得
宮城政会 4議席獲得
群馬公議会 3議席獲得
京都公友会 1議席獲得
無所属 79議席獲得
参考:Wikipedia
★の付いている党は1884年に解散した『自由党』が分裂したものになるよ。
えっと…板垣のおっちゃんだったかなー?


どら猫くん、よく覚えていましたね!
私は感激しています。
板垣退助の自由民権運動について軽く触れている記事があるぞ。
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明治17年(1884年)に自由党が解散してからは、自由民権派を集結させるために後藤象二郎を中心に『大同団結運動』が行われた。
しかし、まとまった政治団体を目指す【政社派】と、ゆるやかな連絡組織を目指す【非政社派】が対立してしまうんだ。


【非政社派】の大井憲太郎は板垣退助の復活を願っており、第1回衆議院選挙に向けて『自由党』を再び結成した。
選挙結果は、元自由党の①大同倶楽部②愛国公党③九州連合同志会④自由党は合わせると約130議席。
そこで、大井憲太郎は板垣退助を党首に招いて4つの党を誘い『立憲自由党』を結成させたのだ。
衆議院選挙後は政党が各々変わり、大きく別けて『民党』と『吏党(りとう)』に別れた。
民党は自由民権運動を推進している党。
吏党は、その反対で藩閥政府を支持している党になるよ。




津田真道(つだまみち)は、明治6年に私と一緒に啓蒙活動のために『明六社』という団体を作ったんだよ。
懐かしいなぁ…。
ここまでが明治23年に実施された第1回衆議院選挙の話だよ。
この後の出来事もまた改めてお伝えしよう。
改造兌換銀行券10円に描かれたもの
【表】和気清麻呂(わけのきよまろ)


和気清麻呂(わけのきよまろ)は、奈良時代末期~平安時代初期に活躍した人物だ。
和気清麻呂は真面目で仕事熱心な役人。
地方豪族出身で下級クラスの武官として朝廷に仕えていたそうだ。
清麻呂には広虫(ひろむし)という姉がおり、孝謙天皇(女帝)に気に入られて側近に抜擢された。
それを期に、清麻呂もどんどん出世していったんだ。
なんかラッキーだなー。


その後、孝謙天皇(こうけん)が上皇となった時、淳仁天皇(じゅんにん)の臣下である藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)の横暴な態度が目立し始めた。
そして上皇は病気になった自分の面倒を看てくれた僧侶の道鏡(どうきょう)を側に置き特別扱いするようになった。
ここで、【上皇+道鏡】VS【淳仁天皇+藤原仲麻呂】で対立するようになり、763年に藤原仲麻呂の乱が起こった。
私はもちろん上皇様に付きました。




清麻呂さん!
ご登場ありがとうございます。
和気清麻呂は上皇側に付き、藤原仲麻呂は敗退した。
藤原仲麻呂は船を出して逃げようとするが捉えられ斬首された。
そして、上皇は淳仁天皇を淡路島に追放して再び天皇の座に就いた。
ここで上皇は称徳天皇(しょうとく)と名乗るようになったんだよ。
めでたしめでたし!


まだ終わらないよ。
この後に、上皇に付いていた僧侶の道鏡が権力を握っていくんだ。
宇佐八幡宮の神官が「道鏡を皇位に就けると良い」という神のお告げがあったと言い出したんだ。
称徳天皇はかつての側近・和気広虫(清麻呂の姉)に宇佐八幡宮に行って、お告げが正しいものかを確かめさせようとした。
そこで、弟の和気清麻呂が派遣されたのだ。


宇佐八幡宮の神殿にこもっていたら神の声が聞こえたんです。




なんと聞こえたのですか?
「天皇の血をひかない者は皇位につけてはならぬ。道鏡を追い出せ」と。


道鏡は皇位を狙っていたため、その計画が清麻呂によって壊されてしまった。
道鏡のことを特別扱いしていた称徳天皇は、お告げに怒り出し清麻呂を左遷させてしまった。
藤原仲麻呂の乱で助けて貰ったくせに?!
ひでぇ女だなー。


しかも名前まで変えられて大隅国に島流しされたんだ。
どうも、別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)です。




酷い名前ですね。
『穢れ』という字を入れるなんて…。
これを769年に起こった『宇佐八幡宮神託事件』というよ。
その後すぐの770年に称徳天皇は亡くなったので、道鏡の権力は短い期間で終わりを告げた。
清麻呂も朝廷に戻され、桓武天皇のもとで平安京の建都事業に就き出世していった。


道鏡が皇位についていたら、権力争いが耐えなかっただろう。
和気清麻呂は大きな仕事をした英雄なんだよ。
オイラ今の天皇が好きだから良かったぞー。


改造兌換銀行券10円の人物が祀られた神社
護王神社(ごおうじんじゃ)


護王神社には、和気清麻呂とお姉さんの和気広虫が祀られているよ。
【京都御所西 護王神社 公式ホームページ】 http://www.gooujinja.or.jp/
【改造兌換銀行券10円】まとめ
①発行日と廃止日
②発行年に起こった出来事
③紙幣に描かれた人物と関係者
①発行日と廃止日
改造兌換銀行券10円【発行】明治23年9月12日【廃止】昭和14年3月31日
②明治23年に起こった出来事
- 第1回衆議院選挙が行われた
③改造兌換銀行券10円に描かれた人物と関係者
【和気清麻呂】わけのきよまろ
・天平5年(733年)生まれ
・地方豪族出身
・仕事熱心な役人
・姉の大出世により自身も出世していく
・藤原仲麻呂の乱で活躍するが、後に称徳天皇に裏切られる
・宇佐八幡宮神託事件で島流しに遭う
・称徳天皇死後に桓武天皇のもとで再び朝廷で活躍する
【和気広虫】わけのひろむし
・和気清麻呂の姉
・孝謙天皇(のちの上皇と称徳天皇)の側近
【藤原仲麻呂】ふじわらのなかまろ
・奈良時代の公卿(高官)
・淳仁天皇即位後は権力を使い横暴な態度になり、上皇と対立
・藤原仲麻呂の乱を起こすが敗退し斬首される
【道鏡】どうきょう
・僧侶
・称徳天皇(元 孝謙天皇)に籠愛される
・皇位の座を狙っていたが和気清麻呂に阻止される
・770年の称徳天皇死後は下野国へ追い出される
【称徳天皇】しょうとくてんのう
・元 孝謙天皇
・一度上皇になるが、譲位した淳仁天皇と対立し勝利
・再び天皇になる(称徳天皇へ)
・僧侶の道鏡を寵愛していた
・藤原仲麻呂の乱で味方だった和気清麻呂を島流しさせる
・770年で死去


最後に清麻呂さんから諭吉くんクイズの答えを教えてもらおう!
猪の数は8匹でした!
上部には2匹の親子みたいな猪もいますよ。


意外と難しかったぞー。


次回は、明治24年に発行された改造兌換銀1行券100円についての勉強だ。
次回もお楽しみに!
参考文献:日本貨幣カタログ2019,詳説 日本史図録,図説 お札になった人々,歴史がおもしろいシリーズ!図解 日本史,ビジュアル 明治クロニクル この国のかたちを決定づけた維新のドラマを読む,Wikipedia,護王神社公式ホームページ