
明治32年に発行された甲号兌換銀行券5円(5円札)に描かれた人物と、発行年の出来事をわかりやすくお伝えします。

今日から甲号兌換銀行券の勉強だよ。
兌換が続くなー。

甲号兌換銀行券は、今までの兌換銀行券とは違う意味合いを持つお札になるよ。
兌換に関して詳しく書かれた記事はこちら。
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目次
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甲号兌換銀行券5円 中央武内5円


※裏は表と写真が重なっていたため割愛させて頂きます。
紙幣の説明
明治32年に発行された甲号兌換銀行券5円からは、日本人が図案を作成しているよ。
人物画の武内宿禰は、前回の改造兌換銀行券に続いて2回めの登場になる。
冒頭で説明した、改造兌換銀行券との違いを説明しよう。
改造兌換銀行券までは、銀の価値に合わせた基準での紙幣価値(銀本位制)だったんだ。
甲号兌換銀行券からは、金の価値に合わせた基準での紙幣価値(金本位制)に変わったんだよ。
オイラ、意味が全然分かんないぞ-。




うむ。なかなか文では伝わりづらいですね。
紙幣自体の価値を決めるにあたって、世界中にある『銀』や『金』ならば価値を決めやすいんだ。
元々、日本は金の保有が少なかったんだが、明治28年に日清戦争に勝ったことで清から大量の金貨を得たんだよ。
それを期に、明治30年に銀本位制から金本位制に変更する貨幣法が制定された。


これにより、ただの紙である紙幣にも価値が生まれるんだ。
以前は銀が基準だったのが、金にグレードアップしたということだね。


ちなみに古代の人達は、貝殻がお金の代わりだったんだよ。
今では価値がない物だなー。


明治32年の出来事
甲号兌換銀行券5円が発行された明治32年は、明治に入ってから政治家が苦労していた『領事裁判権』や『治外法権』の撤廃がされた年になるよ。
その政治家たちの苦悩については、是非こちらの記事を見て欲しい。
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そもそも、『領事裁判権』と『治外法権』とは、一体どんなことなのか。
なぜ出来たのか?をお伝えしよう。
領事裁判権は、外国人が日本で犯罪を犯しても罪にならない!




うむ。どら猫くん非常に惜しいですね。
領事裁判権とは、在留国の裁判ではなく本国の領事の裁判を受けること。
簡単にいうと、外国人は日本にいても自分の国の裁判を受けることになるよ。
治外法権とは、その国の法律や統制に従わなくて良い。
なぜこのような不平等な条約ができたのか。
さかのぼる事、江戸時代の安政5年に鎖国を終了し、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・オランダの列強国と『安政の五カ国条約』を結んだことが始まりである。
その頃、白人中心の世界であり、黄色人種で小さな島国の日本は舐められていたんだ。
「いうこと聞かないと戦争するぞ」といった雰囲気で、反論は出来ずに5国の言いなりのような条約ができてしまった。
差別ってことかー?
酷いなー!




あと、日本人は野蛮人と言われていたんだよ。
明治に入ってからも、領事裁判権に関しては特に議論されたが、日本のイメージ『野蛮』ということから犯罪を犯すと「殺されてしまう可能性がある」と懸念して日本での裁判を認めて来なかったんだ。
日本政府は自国民を守るために、港近くに外国人が自由に過ごせる範囲(外国人居留地)を決め、そこから中(内地)に外国人が立ち入らないようにした。


この不自由さが諸外国から反発されており、明治27年に外務大臣の陸奥宗光により領事裁判権と治外法権の撤廃を引き合いに、外国人居留地から内地の開放を許可する条例が締結された(日英通商航海条約)。
そして明治32年7月17日にイギリスとの不平等条約撤廃と内地開放が正式に始まったんだよ。


内地が開放されてから、外国人が日本人に溶け込んで一緒に過ごす様子を表す絵になるよ。
とても仲良く楽しんでいるように見えるね。
新しい文化も教え合えて良さそうだなー。


ここまでが明治32年に起こった出来事になるよ。
甲号兌換銀行券5円に描かれたもの
【表】武内宿禰


この甲号兌換銀行券は真ん中に武内宿禰がいるので中央武内5円とも呼ばれていたんだよ。
詳しく武内宿禰(たけのうち すくね)について書かれた記事を見に行こう。
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他にも神功皇后との秘密記事もあるので、是非。


【甲号兌換銀行券5円】まとめ
①発行日と廃止日
②発行年に起こった出来事
③紙幣に描かれた人物
①発行日と廃止日
甲号兌換銀行券5円【発行】明治32年5月1日【廃止】現在も使用できます。
②明治32年に起こった出来事
- 領事裁判権と治外法権が撤廃された年
③甲号兌換銀行券5円に描かれた人物
- 【表】武内宿禰
- 【裏】なし
次回は、同年に発行された甲号兌換銀行券10円についての勉強だよ。
次回もお楽しみに!
参考文献:日本貨幣カタログ2019,ビジュアル 明治クロニクル この国のかたちを決定づけた維新のドラマを読む,お札になった人々,早稲田大学図書館,Wikipedia